玄関や階段の吹き抜けスペース(リビングの吹き抜けはあまり該当しないかもしれません)に照明をプランする際、「そとから窓越しに吹き抜けの照明器具が見えるようにしたい」とご希望の方が案外多くおられます。
例えば、外を歩いている人が我が家を見上げたとき、玄関の吹き抜けスペースにつけた小さなシャンデリアを2階部分の窓からみえるような位置に吊り下げたい、といったようなご希望です。 ところが実は、コンコルディ屋主人は、たいていの場合このご希望に対して大変ネガティブなお返事をしてしまいます。 「残念ですが、ご希望には沿いかねます。なぜなら、道端を歩く人から窓越しにシャンデリアを見せるには、このシャンデリアを吹き抜けの天井間際まで上げて吊らなくてはならないからです。」と。 そうです、図面で見るとまるで「窓の高さとシャンデリアの吊り下げ位置を横に合わせれば良い」と考えてしまいがちですが、ちょっと考えるとこれが大間違い、ということにお気づきですよね。 (過去に、工務店さんが作った照明プランでもこういったことが平然となされてお客様にもそう話されていたことがあり、びっくり仰天したことがあります。) 図面を見るときには、『人の目線』『人の目の高さ』ということをいつも念頭に置きながらこれを眺めるようにしてください。簡単なことではありませんが。 #
by concordia-light
| 2008-09-06 17:19
| 照明プランの考え方
蛍光灯のあと-現在まで
蛍光灯発明のあとは、皆さんご存じのとおり、電球に関してのそんなに大きな改革はありませんでした。蛍光灯が同じ明るさを出すのに、より小さな電力消費で済むようになった、くらいの進歩だったのではないでしょうか。 いや、ひとつあるとすれば、それは低電圧用の電球です。これの進化によって、形状としてはかなり小さな照明器具が製作されることになり、デザインの分野では大いに貢献しました。でも、しょせんデザインの分野であって、根本的な変革ではありません。 で、次に出てきたのが、つい最近と言って良いでしょう、LED および有機EL の照明です。(電球と言ってくくってしまって良いのかどうかわからないので、「照明」と呼びます。) 仕組みをお話しても難しくてお分かりにならないでしょうから(と言いながら、本当は私自身がまだ理解していないものですから)、説明は省きます。 2011年の東日本大震災のあと、急速に省エネの必要性が唱えられたなかで、市場に出てきて間もなかったLED電球は一気に広がりました。白熱電球の一部生産中止も同時に出てきました。 さらにその後、有機EL照明というものが現れました。テレビの液晶パネルに採用されている程度で、まだ身の回りの照明器具としては身近な存在ではありませんが、壁全体が光ったり、天井全体が光ったりするようなイメージのものがそのうち出てくると言われています。
これらについては、いずれ別の項で皆様にお話をすべきことが徐々に出てくると思いますので、そこで改めてご案内いたします。 いずれにせよ、「照明のあゆみ」というコーナーに出すにはまだちょっと早すぎますので。 #
by concordia-light
| 2008-08-23 17:58
| 照明と灯かりの歩み
蛍光灯
蛍光灯が世の中の人々に紹介されたのは、1939年、ニューヨークの万国博覧会でした。ヨーロッパで第二次世界大戦が勃発し、まさに風雲急を告げるなかでの蛍光灯のデビューだったわけです。 内側に蛍光材を塗った電球に電気を放電させることで中のガスから紫外線を出させ、それが蛍光材を光らせる、というのがその仕組みです。 同じ電力消費量なのに明るさは白熱電球の倍以上(当時)、耐用時間数も長い、ということで画期的な発明でした。 戦後いっきにこの蛍光灯は全世界に普及しましたが、欧米では主に工場・事務所で活用されたのに対して、日本では蛍光灯はどっと家の中にも押し寄せたのです。(このあたりの事情は別の項で述べています。) 1995年、イギリスの照明器具会社の社長に日本の住宅を案内したとき、そこらじゅうに蛍光灯が使われているのを見て彼は絶句し、「蛍光灯は家のなかで使うものじゃない!!」と叫んだことを思い出します。 #
by concordia-light
| 2008-08-23 17:42
| 照明と灯かりの歩み
電球の誕生
19世紀の初頭にアーク灯と呼ばれる、電気を使った照明が発明されましたが、これは今の電球とは性格を異にしていて、あまりの強烈な光なため、家庭では使うことが出来ず、公共の場を照らすような場合しか使用できませんでした。この項でも、ですからこのアーク灯が存在したということだけで終わりにします。 さて、やっと登場したのが「電球(白熱電球)」です。 真空のなかで炭素フィラメントに電気を流すと、結構長い時間発光し続けることが確認されていましたが、それをガラス球のなかに入れて適切な炭素フィラメントを採用したことで、実用的な白熱電球が完成したのです。 白熱電球を完成させ実用化したのはエジソン、ということは皆さんご存知でしょうが、もうひとり、イギリスのスワンという人も同じ時期に白熱電球の完成に向けて追い込みをかけていました。そのなかで、エジソンが先に実用化にこぎつけたのは、フィラメントに日本・京都の竹を炭化させたものを使用したことによるのです。 エジソンはその後ジェネラル・エレクトリック社(GE)を設立し、炭素フィラメントからさらに進んでタングステンフィラメントを使って世界中に電球を売って回りました。日本で使われている電球もすべてこの系統です。 詳しくは別の項で述べる予定ですが、このエジソンの実用化した電球の型式はかならず最初にE(エジソン)がつき、くるくる回しながら着脱するタイプです。これに対して、スワンの作った電球は押し込んでひねりながら着脱するタイプで、銃剣の剣(Bayonet)を着脱するのと似ていることからこれをバイオネット式と言い、型式はBから始まります。 西洋アンティークの世界ではこのBタイプの電球はむしろ一般的で、これを「スワン球」と呼ぶ人もいます。 ともかく、この白熱電球の実用化により、照明の世界は一気に変化していくことになるのです。20世紀にあと十年とすこし、というタイミングでした。 #
by concordia-light
| 2008-08-23 16:44
| 照明と灯かりの歩み
「ほたるのひかり、まどのゆき・・・」と卒業式の時には歌ったものですが、近頃の小学生・中学生は歌わないようですね。
コンコルディ屋主人がそんな歌のことも知らない子供のころ、何回か蛍を取りに山のほうへ行きました。小さな虫かごにいっぱい(といっても十数匹かな)とって家に帰り、蚊帳の中に放して蛍の光を眺めながら寝たことを思い出します。 ほんとうに一匹が光るだけでそのあたりがボンヤリと見えるのにはびっくりしましたが、あれだけいっぱい捕ってきたのに、蚊帳のなかではそんなに光らないものだな、とがっかりしながら眠りについたものです。そして翌朝には死んだ蛍を何匹か発見してちょっと悪いことをした気分になったことも思い出します。 そんな微弱な光ですから、当然この光だけで文章は正直言って読めません。 「ふみよむ つきひ かさねつつ」とはいかないようですが、それでも本当に一瞬ではありますが思いのほか明るくなったことは確かです。 #
by concordia-light
| 2008-08-23 11:58
| 灯かりの思い出
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