アーサー・C・クラークの小説「2001年宇宙の旅」がキューブリックによって映画化され、その冒頭で、なぞの四角い物体「モノリス」が我々の祖先に道具を持たせ、彼らはそのとき動物から「人」になった、と表現されている場面は有名である。
私はそのとき、たたきつける道具や石から火花が飛び散っていたのを見て、私は勝手に「人類はこのとき『火』を得たのだ」と思っていた。 でもおそらくそれは間違いで、森の自然発火や、落雷による発火から、火種をとって利用し始めたのだろう、と今は考えている(というか、教えられた)。 私がオーストラリアのシドニー郊外に住んでいたとき、ある夏の日に突然のように家の周りの森の4ヵ所から火事が発生し驚いて非難の準備をしたことがあった。ユーカリがお互いにこすれあって自然発火したのだが、たぶんそんな経験を太古の人類も経験したのだろうと考えると、面白い。 我々の祖先はこのようにして火を味方につけ、火を利用して生活を始めたわけだが、動物(家畜動物を除き)はそうではない、ということも明らかであろう。西部劇を見ていて、彼らが夜寝るときに焚き火が欠かせないのは、動物からの危険を避けるためでもある。 つまり、本来動物にとって危険であり、嫌われている「火」、敵である「火」が、人間にとっては味方になった。 「火」は「灯かり」でもあったが、「暖」でもありまた「かまど(煮炊き用)」でもあった。いつの頃からか皮膚を毛で覆うことをしなくなった人類には「暖」としての「火」は、必需品にもなり、また「安心」にもつながった。 私たちは、火を見て心なごむ経験をすることがときどきある。やはり本来「火」は怖いもので危険なものではあるけれども、それでもキャンプファイヤーの火や、暖炉の火などから暖かみ(実際の温度のことだけではなく)や安心感を得ることができる。 クリスマスにテーブルの上のロウソクの光を眺めながら心なごむのを実感し、さらに薄暗い部屋にぽつんと一つ灯された電灯を見て、こころ穏やかになる。 そして今、「灯かり」は「暖」のあるなしにかかわらず、「安心」や「なごみ」を与えてくれる重要な要素となった。 (以上はコンコルディ屋主人の私見であり、おそらく引用すると笑われますのでご注意ください。あまりよその人に言わないほうが良いでしょう。) コンコルディア照明 #
by concordia-light
| 2007-10-08 17:29
| 照明と灯かりの歩み
ダイニングテーブルの上に照明器具を吊るす場合、吊り下げ位置がけっこう重要になることがあります。
インテリアのガイドブックの中には、いとも簡単に「照明器具とテーブルの距離は約60cmが適当です」と書いてあるものがいくつかあります。お客様のなかでも、いろいろと勉強した人にかぎって、やはり60cm、とおっしゃる。 実は私自身は、この60cmに少々異論があります。もうすこし細かく言うと、座席に着いたときには確かに心地よい高さかもしれませんが、じつは一般家庭においては、ダイニングテーブルに座らないでダイニングエリアを望むことも多く、その際は若干うっとうしくなることがままあります。 テーブルの高さというと、平均的には床上70cm~75cmになるわけで、それから60cm上、ということは、照明器具の下面が床上130cm~135cmあたりになるわけです。 いかがでしょうか、本当にそれでいいのでしょうか。 また、照明器具の大きさにも当然左右されてしかるべきところ、本当に60cm、と決めうちしてしまって良いのか、と私は疑問に思います。 レストランの照明であれば、それでいいかもしれませんが、一般家庭のばあいはもう少し柔軟に考えてみてはいかがでしょうか。 どんな器具を選ぶかによって、高さも都度検討して決めていただきたいと思います。 (確定するような言い方は避けるべきですが、本当に大雑把に言いますと、小さめの器具ならば床上150cmくらい、大きくなれば170cmまたはそれ以上でも良いかと思っています。) コンコルディア照明 #
by concordia-light
| 2007-10-08 00:54
| ダイニングの照明
私はときどき美術館に行きます。
この絵はレンブラントの自画像で、ロンドンのナショナルギャラリーにあります。私はレンブラントが好きなので、ロンドンに行くと必ずこの絵に会います。 この絵に限らず、レンブラント作品は光の描き方がいのちです。しかし、よく見ると、描いているのはもしかして影であり、闇であることに気づきます。 均一の光では、光の美しさを感じることはできません。 レンブラントは、光の濃淡、陰影、そして闇までもが「美」に不可欠のものだと教えてくれるのです。 コンコルディア照明 #
by concordia-light
| 2007-10-08 00:27
| 「美しさ」と「あかり」
「玄関は明るいほうが良い」
「うすぐらい玄関は嫌いだ」 というご意見をよく聞きます。 そんなとき、私は申し上げます。「玄関があまりに明るいと、他がしんどいですよ。」 他のコラムでも、いろんな場面で述べることになると思いますが、「人間の目を甘く見てはいけない」ということをまずは言いたいです。 夜。 暗い空間から入ってきた人間の目には、少々明るさを抑えた玄関が、それでもかなり明るく感じられます。瞳孔の開け閉めで、敏感に明るさには反応しているからです。 つまり、かなり明るくしたつもりの玄関でも、実際にドアを開けて入ってきたときの感じ方は、そうは変わらないのです。両方とも「結構明るい」わけです。 そしてその次。 靴を脱いで奥に入ろうとするときには、目は一生懸命瞳孔を小さくし、最初の明るさになれた目になっています。 そんな時にたぶんリビングエリアに入ることになるわけですが、リビングの明るさが玄関より暗いときには、そのお客様はおおむね、「なにやら薄暗いリビング」とか、「活気のないリビング」と感じるわけです。 それよりも、どちらかというと「明るいリビング」「活気あふれるリビング」のほうが、良いのではないでしょうか。 (まあ、いずれの場合も、リビングに座ったお客様は、今度も数十秒のうちにその明るさに慣れますから、あんまり神経質になる必要はありませんが。) つまり、お分かりのとおり、玄関を必要以上に明るくすることはあまりお薦めではありません。 むしろ昼間のことを考えて、光の入り方の少ない玄関でどうしても照明が必要なケースでは、若干明るめの光にしておいたほうが良いでしょう。 コンコルディア照明 コンコルディア照明の玄関の施工例がいっぱいご覧いただけます。 #
by concordia-light
| 2007-10-05 23:45
| 玄関の照明
よく聞く話。
「私が気に入った照明器具があるんだけど、コーディネーターさんの意見と違うので、困ってます。」「お願いしている住宅メーカーさんの指定の照明器具メーカーのものでないと、良い顔されないんです。」 確かに、家作りは大仕事。一生懸命やってくれている業者の方々とうまく良い関係を保つのは、いい家を作る一番の条件と言ってもいいでしょう。 問題はその次です。 じゃあ、その良い関係のために自分たちの思い描いた家、前から実現したかったインテリアを諦めていいのでしょうか? それは違う、とはっきり断言できます。「誰の家やねん!!」ということです。 住宅メーカーやコーディネーターの方は、本来お客様の夢を実現するために最大限の努力をすべきでしょう。 彼らにはもちろん事情があって、どのメーカーの部材を使うとマージンが大きいということがわかっていますから、お客様の要望を鵜呑みにすると儲けそこなう、と考えているのは否定できないところです。要するに、お客様の言い分を丸呑みすると、結局会社に叱られてしまうわけです。 みなさん、ここがエネルギーの使いどころです!! 秘策はありませんが、とにかく訴えることです。人と人ですから、話せばわかる! なんとか頑張ってください。 住宅メーカーの方々、インテリアコーディネーターの方々、部材のマージンはほどほどでいいじゃないですか。 お客様のやりたいこと、希望を出来るだけ聞いてあげましょうよ。 きっと、何年かあとに「あの時は本当にお世話になりました。」と本気で言ってもらえますから。 #
by concordia-light
| 2007-10-04 22:11
| 照明プランの考え方
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