人気ブログランキング |

照明のあゆみ(4)

アルガン式ランプの誕生

18世紀末、それまで数千年にわたってほとんど変化のなかった照明技術がにわかに動きを見せました。きっかけはラヴォワジエが発見した「燃焼理論」でした。燃焼には燃える物質(炭素)と「酸素」が必要だということで、これはいわゆる学問的な影響だけではなく、照明技術に大きな影響をおよぼしたのです。

つまり、ランプの設計にもこの理論が取り入れられました。焔の部分にこれまで以上の空気がとおるように工夫がなされるようになり、ついにラヴォワジエの理論から約10年後にアルガン(スイスの科学者)が新しい形のランプを発表しました(イギリスでは1784年)。いま我々がアンティーク照明の世界で「オイルランプ」とよんでいるもの(下図)がまさにそれです。当時はまだ石油から照明用油がとれていない時代なので、燃料は違います(主に植物油)が、姿かたちはほぼ当時に完成したと言っていいものです。

灯芯を平面にしたうえでそれを丸めた形(煙突状)にし、その外側と内側からともに空気に触れるようにしています。

このために光の量は以前と比べて格段に飛躍しました。当時の書物には「同じようなサイズのものなら、以前のランプに比べて明るさは10倍!」とコメントしたものまであったようです。(もっとも当時はまだその光によってできる影の濃さで明るさを比べていたようで、全然あてにならないコメントですが。)

f0150177_13344773.jpg


このアルガン式ランプ(イギリスでは「コルザランプ」と呼ばれていた)が偉大だったのは、その明るさだけではありません。この形式になってから人々は競ってランプの意匠や材料に凝りはじめました。ロウソクを使った系統の照明器具はそれなりに進化していましたが、ランプのほうはこのアルガン式になってからやっとその歩みを始めたと言って良いでしょう。明るく輝きすぎる(!)灯芯を隠すために美しい布やガラスのシェードもこの時期に作られ始めたのです。

f0150177_13292043.jpg


そしてそれらの多くが、その後の照明器具の原型となりました。アルガンの発明から約1世紀あとのエジソンが電球を作り出すときでさえ、どうやらその形をこのアルガン式ランプのホヤから連想しているらしいことを考えると、アルガンはその後の照明の歴史に計り知れない影響を及ぼしているのです。
by concordia-light | 2008-02-25 13:36 | 照明と灯かりの歩み
<< 照明のあゆみ(5) 照明のあゆみ(3) >>